2019年5月28日火曜日

あまりの駅

あまりの駅は唐突にあなたにやってくる。それはある日の終電うとうとしているあいだに降りる駅を乗り過ごして車窓の外にぽつぽつひろがる街のあかりをながめているといつのまにか終着駅も過ぎたみたいでまったく見知らぬくらやみにときどきぽつぽつと光がみえるようになる。街はどこまでつづくのだろう?地上はどこまでつづくのだろう?みえる光がまったくなくなってくらやみになればどこへ着くのだろう?この電車はどこまでいくのだろう?その先にあまりの駅がある。
あまりの駅は生涯に数回だけあなたにおとずれる。もちろんおとずれないままに終わるひとだってたくさんいる。だけどあまりの駅がおとずれてしまえばおしまいだ。あまりの駅を知らなければならない。あまりの駅に気づかなければならない。あまりの駅をのがしてはならない。でもそこで降りてはならない。

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