2020年12月22日火曜日

おれない ぼく

ぼく ぼくぼく 歩く
ぽくぽく ぽこぽこ 歩行する
ぼく ぼ くぼくぼ くぼむ
ぼく ほくほく ほこる
ぼく ほこっちゃった
ぼく ぼくっちゃった
ぼく くぼっちゃった
ぼく ボコっちゃった
ぼく くぼんじゃった
ぼくと ぼく そぼく ぼくとつ
ぼくと つと ぼく とつ  とつとつ とこっちゃった
ぼくと はくぼく ぼくとは くぼく

ぼく おれしない
ぼく おれない
ここに おれない

2020年10月19日月曜日

キセキ

鬼籍に入る 奇蹟
軌跡に居る 奇蹟

流れの軌跡の うえの
奇石にゐる キセキレイ
鶺鴒 綺麗
貴石 玲 綺麗
輝石 綺 羅キラ
浮き沈む 流れの 奇跡
そこに 帰責
なにもかも

だれもかも
鬼籍に帰籍
軌跡がきえる 奇蹟

2020年9月26日土曜日

たわ(私)ごと

わたしはたわし

ちくちくいがいがあなたを刺してうるさい

たわしはわたし

ごしごしがりがりあなたのヨゴレをこそげとる 

わたしはたわしはわたし

あればつかえるかもしれないが なくてもこまらないもの

たわごとじゃ

2020年9月21日月曜日

焦燥

そう

しょう

そう

焦燥

焦燥に駆られる
左から押され
右から圧され
下から突きあげられ
斜め上からつつかれ
ゆらゆらあぶなっかしく
平静を保つのがむずかしい
おまえは
おまえは
いまごろ
なにを
いくつもの 指弾と
もやもやした
ことばが ぷつぷつ
不穏な地面から 芽をだし
むこうの空から こちらへと
画が ぬっと ぬっと どんと
幾重もの 強迫と
いくまいもの 画が
視界をさえぎって たちふさがる
ゆらゆらひるがえり 立ち処の一点を おびやかし
均衡を保つのがむずかしい
しがみつくのが むずかしい

2020年5月20日水曜日

さんぽ

わたしの透明な死体が幾重にも折り重なっている
その地点を
三度 通り過ぎた
十八年ぶりの春

一度めは おずおずと
二度めは 確信をもって  踏みしめる
三度めは ほぼ なにも考えず

それで終わったわけではない
かずかずの透明な死体を
葬ったわけではないが

いつ ほんものの 死体になってもおかしくなかった この春に
わたしは 生きている
生きている にんげんとして ここを踏んでいる
奇跡
奇跡のような
軌跡

川面をとおりすぎる舟の軌跡があり
川面に跳ねる魚の水音とすがたがあって
釣り人らは 若いのと年老いたのとが マスクなしでしゃべっている。
笑っている。

とおりすぎる こどもがいて
とおりすぎる 老人がいて
すれちがう ジョガーがいる。老いも若きも女も男も
ふみしめる さくさくと この年に
この 残酷な春に

無数の透明な死体と
(すごく多いけれど)有数の 具象の死体とが
どこともない 無限の 場所で
(すごく遠いけれど)ごくちかくの 有限の 場所で
つぎつぎ 折り重なっては くずおれる
この 過酷な年に

2020年4月4日土曜日

蟻走

帰らなければ
帰らなければ
帰らなければ
でも どこへ?

宿主の頭蓋骨の内側をめちゃくちゃに走りまわっているだけの蟻さながらに
あせりまくってはいるのだけれど どこへなにをどうすればよいのかわからない。
ぢめんにはつぷつぷつぷつぷつぷ無数の孔があいて足をとり 剣呑クラック縦横にはしって 腹まですっぽり嵌まってしまう
いっそ 其処から外界へ抜けられればよいのに
ぬけるに十分な大きさ だけは ないのだ。

ぴーーーごおおーーと音がして
其れ其こすぐ 高架をへだてた向こう側に環状線が発着する。ながい頭頂だけがみえる銀色の電車がなんぼんもなんぼんも目の前を走っていく あの駅に
はいるには まず正規の手続きを経てここから出なければならない。とさ
むこうがわに わたらなければならない。

距離的に最も近いとはいえ無駄無理ムラな内壁をつたってはしりまくるだけの危険を漸く察し 算段するフェイズをひとつさかのぼって チェックイン/アウトのために建設されたとの名を負う ビルヂングにもどる と
ここでもやはり蟻さながらに 上から下へ 下から上へと梯子をつたって走りまわること余儀なくされるのだ。いちばん下層のバァには わたくしにむやみな悪意をいだく女将がいて
みつからぬうちに とっとと去なねばならぬ。(ばぁさん確信に充ちてカラオケ曲をえらび終え、こちらが身を匿す数舜のちにふりかえる。こっちゃもう何ゆえの悪意であったかすら憶えていないのに)

最上階から何層か下までは見晴らしがよく液晶挟んだガラスの薄膜をへだててむこうのくうかんを滑りぬけていく電車がまぢかにくっきりみえる だけに そっちへあくがれる精神を逆撫でする。病篤し オフィスにはだれもいなくて 空の書類どころか窓を開けるカギさえ見つからぬ。闇がおとずれれば 磁界におとなしく したごう液晶のつぶつぶの配列かわって もとのもく闇 阿弥陀の唐変 木鐸止み 網の闇。(ふらんす語でともだちを意味するバァの名)

中階の注解の仲介の宙界の忠獪な管理人は どんな申請がやってきても「手続きを拒否する」ことのみ責務とこころえているらしいのだが かれの目をぬすんで窓枠に攀登り 警備人らにみつからぬよう ルーフテラスの補助線を越えることだけが
ゆいいつの越境の手段だと おしえられ
物干棒<─>線の定義をわすれぬよう 入念に
あらんかぎりの速度加速度でダッシュ!奪取を試みるのであるが──(脱種)
そこは 蟻の 身の 哀しさ 身の 数倍の 距離をはしる速度が 可能だ と 蟻つかいらは 褒めて くれても
そんなもん 屎のやくにも たたぬ
…チキコンチキコンチキコンチキコン………
だに
あっさり
捻り潰され

もういちど 幽界をさまよいありく羽目になるのだ。
宿主が
痒がっている。
ぶっとい蜂に刺されたように 二の腕が筋肉まるごとひとつぶんのかたちに腫れあがり わたくしが むちゃくちゃに はしりぬけていく感覚がするらしい。
にんげんは 生物の ヒトの 臭いがするからと ちかづくのもいやだ
おのれとて ヒトの 臭気を発するから だれにちかづいて さとられるのもいやだ
と いたがっても膚にふれることをいやがり
ぎりぎりぎり 蟻り蟻り蟻り と
艤装を擬装する蟻走のふゆに
じりじりじりじりじりジリじりジリと まなつの鈴むしの 鳴くことよ

2020年3月24日火曜日

微睡

だれかがぼくの名を呼んでいる。
ぼくが名づけられる以前の名で呼んでいる。
だけどぼくはどうやってそれをわかればいいのだろう?

覚醒と睡眠のあいだの階の要衝要衝に
交通案内をしてくれるおばさんが立っていて
わずかなチップと引き換えに夢のチケットをくれる。

長い夢を存分に愉しんでからもっと深い階に降りていくのもいいし
ごく短いイマージュを楽しんで、またすぐべつのおばさんを探しに行ってもいい。

夢の各層には大きなまるい浅い穴が水玉模様のようにぽつぽつと開いていて
ぼくらはそこをとおって睡気の重力に曵かれ
ゆっくりとだんだん深い階へと降りていくのだ。

今夜は穴を避けてごく浅い層をとびまわり
あたらしくみつけたおばさんからつぎつぎとチケットをもらって
気の向くままに点々とイマージュを渡り歩いてみる。

六角形のかざぐるま
ソフトクリームの大山椒魚
一角獣のひづめ
龍の子のこゆび
妻のあしゆび
月のきざはし
霜の刃
あまいひやむぎ
秋冬仕様にツイードを着込んだ雀
生き延びる実感
ぽろぽろこぼれるとうもろこしぱんのくず
降りしきる豆ランプの光のあまだれ
あまずっぱい観覧車に
シナモンの香りのする回転木馬
仔馬のたてがみ
水の龍のまぶたにふれる

浅い階にいるおばさんたちはみんなとても美人でセクシー。
黄色や青やピンクのミニドレスをきらきらきらめかせて
50年代ふうにカールしたヘアに色とりどりの流星や恒星や星雲をいっぱいつけて
惜しみなく笑顔を呉れる。
チケットをわたしてくれる白い手がひやっこくふれるだけで
ぼくはドキドキしてしまう。

でも どこかよそから
たぶん どこか奥のほうから
だれかがぼくの名を呼んでいる。
ぼくが名づけられる以前の名で呼んでいる。
だけどぼくはどうやってそれをわかればいいのだろう?

まぁわからなくてもいいや
気づかなくても仕方がないやと
くちのなかでいいわけしながら
(内心微かに仮借をおぼえながら)
ぼくはイマージュの浅瀬をぴょんぴょん跳んで渉るのだ。

2020年2月27日木曜日

半分だけ立て掛けてある/あるかな はるかな

あるかな
はるかな
アルカナ
あるか 
歩かな 
歩かな 
遥かな 
春かな

半分だけ立て掛けてあるよそごとにカチっと欲望をかぎり
舗道から眺めて後ろ半分だけ見えない杉の板に触れたくても触れずにおき   
第2第3ステージへとうつっていく中途半端な温度にて
それから2、3歩あとじさる蜥蜴と人間の体温を同じうする気温にて     
求心状の視点をそれそこの半径1.5cmの円に万遍無く集中すると
キャメラのファインダーにピント合わせの小さな丸い点をさぐりながら    
アウトプットは半径33.3cmの半球型の内側に遠心状に展開する
魚眼様に地球をもっとひろくまるく査収すべしと発言する          
捨象する照射の収縮膨脹は徐々に規模そのものを拡大して
バッテリー喰うストロボの発光するしないはだんだんジリジリいらいらしてきて
この序破急に終局はあるかないか
変節漢の怒鳴り声に週末は台無しかどうか                 
週末という概念そのものがあってよいか否か
終末という休暇そのものにどこへ行くか田舎                
  射ぬか
  犬か

アロンジ   ゆこう     
アレグレット はるかに    
アヴィ    えいえんに   
アヴォワール つよいいしと  
アンタンシテ きょうどをもって
アンタンドゥ りょうかい?  
アヴァントゥ なによりも   
アヴァン   さきに     
トゥ     すべては    
コモンス   ここで     
イシ     はじまる    

すべては ここで はじまる
ici

意志

緊張のあまり泣き出してしまうこどもは
訳知らぬ断絶などものともしない綜合は
童児に優しい水の音に思いを馳せている
同時に不可欠な保護観察を取寄せている
ガラス窓に青いトラックが反射していく
鳥瞰視界に最小限の視差を示唆していく
やすがれにはらはら花びらが散るとなく
ほとほと厳密な概念操作も空しくとなく

ちるとなく むなしくとなく
やすがれに ほとほと   
こだまする        
  居ぬか 

縊死の 
遺志  
医師らの
石   
石の上にも三年
 …とか

往ぬるか

往の

2020年2月3日月曜日

抵裂き難い抗

発火する家
ゆっくり回転しながらしゅうしゅうと炎を噴き上げる。
あの土台のあたりに火薬が仕込まれていたか
それが回転ステージのうえに載せられていたか

跡地のむこうがわは有名な庭園
こちらがわは再開発となる
とりあえず
古着屋ゲー血ム屋掘屋台らの簡易ガレージ店舗が
わいのわいの
軒をつらねて
黄色ジャンパーのにいちゃんらが
コークな茶封筒どを堂々と売っている。

層にかさな死期を女性職員知らせる文化施設
てらてらな黒にグレーのキャ避け難いリアスーツの細身をかためた
男子職員が案裂き難い内する
抵抗
抵熱い抗
耐え抵抗難い
抵愛着抗
の短髪のちに最上死神は階へ

階層を請求書を配達する移る
傾斜のと急を告げ鋭いめつきのるんでもなく緩い
エスカ眉毛のうすいレータ

一気に三層をつ分裂者の手紙らねている
花や樹や種子を撒きちらす草やつめこんだ黒いかばん鳥の標本の束

てっぺんに
曖昧な三角形状のなん誤配物の束をにもない
コンク誰かが勝手に手配したリートの屋上があって
周囲は足首ほど悪意の高さの柵でかこってある。

風が強いから危険です。
吹き飛ばさ狂おしきれて落ちてしまうかもしれませんよ
と職員くんがしきりに止めるのもきかず
折角ここまできたのだから
いちおうは歩い欄干から零れおちるてみようと
危ない端っこをえらんであるく
それでも
エッジから微妙に安全な距離はたもっている
つもり
でも
たぶん風が吹けば無効な距離だ。

彼がはらはらと 内側でみまもるうちに
ゆっくりと ゆっくりと ひとめぐり
するあいだ ついに風は吹かず
無事にもどることができる。
(むしろ風をのぞんでいたのかしらん?)

なんだ関か平和だ係ねぇと
むこうがわの庭園の入り口にたつ
レスト棄てがたいランの灯のにぎやかにともるのをみて

簡易店舗の涸れる陽こちらがわも
1ヵ月半もたたぬまに
愛抵抗着
なにやら変なかたちのビ耐えがたいルが立ち並ぶのだろうと
さしむける
うつそみの

2020年1月20日月曜日

たからくじ

だから
くじ
くじく
くじる
しくじる
じりり

かれはわたくしの冷凍庫に小函を蔵い忘れてかえる

じる
じるれ

わたくしのトイレットの小棚に懐中時計を置き忘れてかえる

ねやのひまに たがいちがいに長短のことなる糸くずを捨て忘れてかえる

境界線をさぁっと引いて すぐ削除する。
境界線をさぁっと引いて すぐ削除する。

べつの境界線をさぁっと引いて すぐ削除する。
またべつの境界線がさぁっと引かれて またすぐ削除される。

線を引いて 削除
線を引いて 削除

ふわふわに交差して糸屑のようになった線の残骸が
場にない場につもりつもって糸玉ガラクタのやまのようになり
その引力で 周囲をさらにおおくの 糸のかけらが旋回している。
指でつまめば たちまち消える。

ある主体は マウスの線でさぁっと描くだろうし
ある主体は キーボードを一個一個たしかめながら叩くかもしれない。
てんてん ときとき ながいじかんをかけて 彫琢し
ていねいに 細心に ちゅういぶかく しつらえたものほど
すわぁぁぁぁぁっと 豪快に削除されていく。

1999年1月1日午前1時27分頃 エレベータのなかで
酒酵素にあわさったどぐさい息とよれよれに高湿度おびた体温をまともにふきかけられる位置にいながら
われかんせずと(あるいはそれこそこころよいかのように)
幾枚もの布にくるまれてすとんと落ちるように抱かれて すやすや睡っている
ちいさないきもの
に遭遇する。

| なぐりつけるように 地におとせば すぐしぬだろう
| しぬかもしれない
| しんだら それなりに かなしんでくれるひとびとがいるだろう
| それなりに かなしんでくれないひとびともいるだろう
| (そちらのほうが とうぜん おおかろう)
| だから いつでも しんでもよい のだと
| みえぬものに あくがれるように たのしげに
| さんざぼこぼこにされた とうめいにんげんのたましいは
| つぶやくのである
| しょーがねーな とめてなんかやらねーからと
♪たのしげに うけこたえてみる やる

 りながら
こんなのはまちがっていると つよく おもう

ラヴさえぴりぴりりとはぎとってしまえば かんたん
という 公式見解も もちろんあやまっていると おもう

べたべたのラヴシャワーの視線に曝された素肌は
ねとねとになるごと 粉をふいたようにすべすべなめらかで
化粧している ほかの身体パーツよりも もっと化粧をほどこされている のだが
なんら防禦的 やくわりをはたさず
かえって ぱぱぱぱっと指圧されるとすぐ
へにょりんこんとへこんで とぽとぽにくたびれてしまう
まいなすの 傷つきやすさ 強度の欠如 欠如の強度

もっとつるつるにしあげて 汁気を剥奪すれば おはだの張りは保たれるかもしれない という
わけにもいかないんだな これが

うしろざまに
ろざまに
さまに
まさに
まに
むけに
ほれ剥がせ ほれきえろ ほれなませ ほれとのせ
!hola! と hala
いって 消えろ て・きえろ te quiero quienes? quiera quienesquiera