2023年8月28日月曜日

FukushimaWaterRelease3日め

果物屋の店先で
今年初めての青蜜柑を見つけた
うれしい
ことに青いのを選んで買う
今どきの青蜜柑は昔と較べで酸っぱくなく
物足りないけど
それでも青いほうが酸っぱみがあるような気がして
青いのを選んで買う
酸っぱいのが好きなんです
このごろは苺なんかもめちゃ甘くなっちゃって
いつかヨーロッパの市場で買った苺が
見た目は日本のと変わらないのに
酸っぱみがきつく野生味もあって
こちらの方がわたしは好みだったな
…てそれはまた別の話
目の前の青蜜柑は高知産

魚屋さんの店先に来て
   鮪の刺身を食いたくなったと
   人間みたいなことを
わたしも思うのだが
ホントは鮪よりハマチの方が好みなのだが
これからさきの日本の漁師さんたちのことを思いやると
心穏やかではいられない
山之口貘氏が
   死んでもよければ
   勝手に食えと
うたった灰かぶりの鮪の灰は
アメリカさんの落としたものだったけど
このたび太平洋を汚しているのは 日本の灰なのだ
そんなギフンにかられつつ
長崎産カンパチの刺身を買う

いつものように
車のかげのない赤信号の交差点を渡ってると
向こう岸にいるおっさんが
「おばはん赤信号やど」
とわたしを指差して言った
わたしは中指を立てたりせず
にっこり笑って通り過ぎた

※引用は山之口貘「鮪に鰯」より

2023年8月25日金曜日

FukushimaWaterReleaseの日に

さいしょの雷鳴が耳にとどいたあと
一瞬だまって一緒にそれを聴いていた
目の前の相手が
「雷ですか?」と言った。
「雷ですね」
ここからは窓が見えないので
外の様子がわからない。
それからまた何度か雷鳴が聞こえた。
部屋の空気がふっと肌寒くなる。
雨音は聞こえないが
雨の降りだす気配
雷も何度も鳴る。
仕事の合間にさっきの相手が
「雨降ってますね」
「うん、そうやね。傘持ってきてる?」
(わたしは晴雨兼用日傘がある)
「いいえ、日傘だけ…」
しばらくすると彼女は
外に出ないといけない。
「その日傘で雨除けになる?」
「…ううん。きっとぐしゃぐしゃになってダメになってしまうと思う」
どこかで雨傘を借りたら…とかなんとか言おうかどうしようかの間に 彼女は席を立つ
「お気をつけて」
わたしはまだしばらく時間がある。
しばらくこの建物の中に居よう。
廊下から外の様子を窺うと
土砂降り
犬猫降り
すごい降り
iPhone見ると
LINE友達から
「(わ)(ー)
 ついにドシャブリ来そう~
 南の空真っ暗 雷ゴロゴロ(thunder)
 雨雲レーダー真っ赤な雲の塊😱」
と絵文字付きで
降り出す直前のメッセージ
ここんとこ大阪ではまとまった雨降らなかったもんね。
外の様子のわかる部屋に移動すると
ますます雨脚強くなってく模様
天気アプリ確かめると
なんと大阪に大雨警報と洪水警報と雷注意報が出てる
いつまでもこの場には居てられない
わたしもあと45分ぐらいで出ないといけないのだが…
「止んでくれ〜」
友だちにその旨LINEすると
「1時間くらいでやむと言うてる」
と情報くれたうえで
「祈ろう」
と祈ってくれる。
あと30分
読んでる本はいまヴェネツィアにたどり着いた
あと20分
ヴェネツィアの聖堂に行く(わたしも行ったな)
あと10分
次はドイツに行くらしい。
LINE友だちは大阪市内の別の区に居て
「こっちは小降りになって雷も遠くなってるんだけどな」
こちらもマシになってきたかな?
あと5分
意を決して席を立つ(小さな決意だこと)
建物の外に出ると
小さな晴雨兼用傘で間に合う程度の降りになっていた
傘無しでずんずん歩いてく人もいる
時折稲光が光る
交差点の手前で雑居ビルの玄関先を借りて少しでも雨をやり過ごした
JRにしようか地下鉄にしよか
少しでも歩く距離を惜しんで地下鉄にした
祈ってくれてたLINE友だちは
「一時的なものかもしれないけど雨は止んだ」と。
「こっちは止んでないけど小雨になってて小さな晴雨兼用傘で大丈夫やった。ご心配ありがとう」
「よかったね!」
絵文字で拍手してくれた。
次の目的地に着き
地上にあがると
もう雨は止んでいた。

それから夜になって仕事終わりになじみの呑み屋に行ってライブ聴いて帰ってくるまでに会う人会う人
「すごい雨でしたね」
とひとしきり。
どこが降っててどこは降ってなくてどれくらい降って雷は鳴ってどれくらい降り続いてどこでいったん止んでまた降り出したか
会う人ごとに把握したよ

家に帰ると
LINE友だちから不思議な写真が届いていた
「不思議な光景だったので…
 ちょうど日の入り
 まだ降ってるのか東のドン曇りの空に建物がスポットライトを浴びて浮き出たようでした🌇」 

なるほど不思議
道には誰も歩いてなくて
空も空気もまだ灰色の世界に
夕暮の日差しだけが黄色く輝いて
道の奥のほうと
両道端のビルの裾より上の側面を照らしている。
黄金色のビルが立体的に浮かびあがり
こちらに迫ってくるようだ
不思議な遠近感

日常詩(というラベル)

まるまる3年新作できずコロナ禍で鬱々というよりうつつだったのかとにかくここも放置していたわけですが、このごろ即興表現やらポエトリーリーディングやらに顔出すようになってからそろそろともう一度書いてみようかなという気になりはじめ・・

とかもったいぶってますね。たまたまこないだ台風の日にふと風が収まってから散歩しながら、目に留まったもの自分がやってること意識にのぼることをそのまま普通の言葉で書き留めるような感じの詩を思いついた。

こんなんもええんちゃうかな? で、夕立のあった日、それからまた次に夕立のあった日、そして昨日(2023年8月24日)大雨の降った日、に作った詩を公開します。

ラベルつけると「日常詩」かな?いやこの調子やと「天候詩」になるのかも・・

わたしにとっては新境地だけど昔からこういう詩(東西問わず形式問わず)も数多いよね。

夕立とすれちがった(2)

夕立とすれちがった
閉め切った室内で仕事してたので
外で雨が降ってるのに気づかなかった
建物から外に出ると
道路が濡れていた
濡れた地面の匂いがほわんと立った
ガソリンスタンドの前を通りかかると
ガソリンの匂いがツンときた
マンホールのそばを通りかかると
下水の匂いがむわっときた
けっこう降ったのかな?
でもまだ降り足らないとでもいうように
空気は湿気をふくんでもわっとしてる
時折パラパラっと名残りの雨しずくが落ちてくる
道端の
なんの用をなしてるのかわからない棒の先に
渡した横棒の両端に天秤みたいに風鈴が二個つるしてあって
不機嫌そうにチリチリンと鳴っている
しばらく歩いてると
地面が乾いてきて
乾いたところと濡れたところがまだら模様になってくる
空はまだどよんと曇り模様
むしむし気温も高い
とおもうとまもなく
またバラバラっと雨が降ってきた
水溜りに水の輪が重なってパラパラっと散った
けっこう降ってくる
あわてて傘をさす人(わたしをふくむ)
手に持ってるなにか(かばんとか本とか)を頭にやる人
雨の中を信号待ちするのが嫌なので
いったん地下にもぐって交差点の向こう側に抜けることにする
地上に上がるとそのまま濡れない道を通って
スーパーに入った
暑いなか歩いた身体をいっとき冷やすため
スーパーも心得たもんで
キンキンに冷房を効かせている
スーパーを通り抜けて外に出ると
もう雨はやんでいた
青空さえちらりと見える
日差しさえ時折ちらりとさしてくる
通り一本隔てた
べつのスーパーに寄って
トマト一盛り480円也と特売コーナーの竹輪20%引を買った
うちに帰り着くとすぐシャワーをあびた
竹輪を齧って缶ビールをあけた
窓から外を見ると青空と白い雲がみえた
夕立とすれちがった

それからしばらくしてまた家を出ると
まだ明るくて青みの残る空に
三日月以上半月未満の月が綺麗だった


電車に乗ってiPhoneでこれ打ってると
隣に立ってる人が
ライトがついてるよと
身振りで教えてくれた


夕立とすれちがった

神戸から帰る途中の電車で
夙川あたりでバラバラバラっと大きな音がして
雨粒が車体を叩きつけているのがわかった
「わっ!雨」と思って目をあげて窓を見ると
雨粒がたくさん車窓にあたってながれていくのが見えた
隣に座ってる人もわたしと
同じ方向を見やっていた
だけどそれはたったいっときで
電車が進んでくと
すぐ雨音も雨粒もなくなって
十三に着く頃にはすっかり晴れていた
地元に着くと地面が濡れた形跡があり
小さな水溜りがそこここにできていて
プラスチックの庇から水がぽたぽた落ちている
ところがあった
夕立とすれちがった

あとで聞けば
西宮に住んでる友人は雷付きで結構大降りだったと
大阪に住んでる友人は「おしめり程度だった」と
いうことです。