2023年8月25日金曜日

FukushimaWaterReleaseの日に

さいしょの雷鳴が耳にとどいたあと
一瞬だまって一緒にそれを聴いていた
目の前の相手が
「雷ですか?」と言った。
「雷ですね」
ここからは窓が見えないので
外の様子がわからない。
それからまた何度か雷鳴が聞こえた。
部屋の空気がふっと肌寒くなる。
雨音は聞こえないが
雨の降りだす気配
雷も何度も鳴る。
仕事の合間にさっきの相手が
「雨降ってますね」
「うん、そうやね。傘持ってきてる?」
(わたしは晴雨兼用日傘がある)
「いいえ、日傘だけ…」
しばらくすると彼女は
外に出ないといけない。
「その日傘で雨除けになる?」
「…ううん。きっとぐしゃぐしゃになってダメになってしまうと思う」
どこかで雨傘を借りたら…とかなんとか言おうかどうしようかの間に 彼女は席を立つ
「お気をつけて」
わたしはまだしばらく時間がある。
しばらくこの建物の中に居よう。
廊下から外の様子を窺うと
土砂降り
犬猫降り
すごい降り
iPhone見ると
LINE友達から
「(わ)(ー)
 ついにドシャブリ来そう~
 南の空真っ暗 雷ゴロゴロ(thunder)
 雨雲レーダー真っ赤な雲の塊😱」
と絵文字付きで
降り出す直前のメッセージ
ここんとこ大阪ではまとまった雨降らなかったもんね。
外の様子のわかる部屋に移動すると
ますます雨脚強くなってく模様
天気アプリ確かめると
なんと大阪に大雨警報と洪水警報と雷注意報が出てる
いつまでもこの場には居てられない
わたしもあと45分ぐらいで出ないといけないのだが…
「止んでくれ〜」
友だちにその旨LINEすると
「1時間くらいでやむと言うてる」
と情報くれたうえで
「祈ろう」
と祈ってくれる。
あと30分
読んでる本はいまヴェネツィアにたどり着いた
あと20分
ヴェネツィアの聖堂に行く(わたしも行ったな)
あと10分
次はドイツに行くらしい。
LINE友だちは大阪市内の別の区に居て
「こっちは小降りになって雷も遠くなってるんだけどな」
こちらもマシになってきたかな?
あと5分
意を決して席を立つ(小さな決意だこと)
建物の外に出ると
小さな晴雨兼用傘で間に合う程度の降りになっていた
傘無しでずんずん歩いてく人もいる
時折稲光が光る
交差点の手前で雑居ビルの玄関先を借りて少しでも雨をやり過ごした
JRにしようか地下鉄にしよか
少しでも歩く距離を惜しんで地下鉄にした
祈ってくれてたLINE友だちは
「一時的なものかもしれないけど雨は止んだ」と。
「こっちは止んでないけど小雨になってて小さな晴雨兼用傘で大丈夫やった。ご心配ありがとう」
「よかったね!」
絵文字で拍手してくれた。
次の目的地に着き
地上にあがると
もう雨は止んでいた。

それから夜になって仕事終わりになじみの呑み屋に行ってライブ聴いて帰ってくるまでに会う人会う人
「すごい雨でしたね」
とひとしきり。
どこが降っててどこは降ってなくてどれくらい降って雷は鳴ってどれくらい降り続いてどこでいったん止んでまた降り出したか
会う人ごとに把握したよ

家に帰ると
LINE友だちから不思議な写真が届いていた
「不思議な光景だったので…
 ちょうど日の入り
 まだ降ってるのか東のドン曇りの空に建物がスポットライトを浴びて浮き出たようでした🌇」 

なるほど不思議
道には誰も歩いてなくて
空も空気もまだ灰色の世界に
夕暮の日差しだけが黄色く輝いて
道の奥のほうと
両道端のビルの裾より上の側面を照らしている。
黄金色のビルが立体的に浮かびあがり
こちらに迫ってくるようだ
不思議な遠近感

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