2020年1月20日月曜日

たからくじ

だから
くじ
くじく
くじる
しくじる
じりり

かれはわたくしの冷凍庫に小函を蔵い忘れてかえる

じる
じるれ

わたくしのトイレットの小棚に懐中時計を置き忘れてかえる

ねやのひまに たがいちがいに長短のことなる糸くずを捨て忘れてかえる

境界線をさぁっと引いて すぐ削除する。
境界線をさぁっと引いて すぐ削除する。

べつの境界線をさぁっと引いて すぐ削除する。
またべつの境界線がさぁっと引かれて またすぐ削除される。

線を引いて 削除
線を引いて 削除

ふわふわに交差して糸屑のようになった線の残骸が
場にない場につもりつもって糸玉ガラクタのやまのようになり
その引力で 周囲をさらにおおくの 糸のかけらが旋回している。
指でつまめば たちまち消える。

ある主体は マウスの線でさぁっと描くだろうし
ある主体は キーボードを一個一個たしかめながら叩くかもしれない。
てんてん ときとき ながいじかんをかけて 彫琢し
ていねいに 細心に ちゅういぶかく しつらえたものほど
すわぁぁぁぁぁっと 豪快に削除されていく。

1999年1月1日午前1時27分頃 エレベータのなかで
酒酵素にあわさったどぐさい息とよれよれに高湿度おびた体温をまともにふきかけられる位置にいながら
われかんせずと(あるいはそれこそこころよいかのように)
幾枚もの布にくるまれてすとんと落ちるように抱かれて すやすや睡っている
ちいさないきもの
に遭遇する。

| なぐりつけるように 地におとせば すぐしぬだろう
| しぬかもしれない
| しんだら それなりに かなしんでくれるひとびとがいるだろう
| それなりに かなしんでくれないひとびともいるだろう
| (そちらのほうが とうぜん おおかろう)
| だから いつでも しんでもよい のだと
| みえぬものに あくがれるように たのしげに
| さんざぼこぼこにされた とうめいにんげんのたましいは
| つぶやくのである
| しょーがねーな とめてなんかやらねーからと
♪たのしげに うけこたえてみる やる

 りながら
こんなのはまちがっていると つよく おもう

ラヴさえぴりぴりりとはぎとってしまえば かんたん
という 公式見解も もちろんあやまっていると おもう

べたべたのラヴシャワーの視線に曝された素肌は
ねとねとになるごと 粉をふいたようにすべすべなめらかで
化粧している ほかの身体パーツよりも もっと化粧をほどこされている のだが
なんら防禦的 やくわりをはたさず
かえって ぱぱぱぱっと指圧されるとすぐ
へにょりんこんとへこんで とぽとぽにくたびれてしまう
まいなすの 傷つきやすさ 強度の欠如 欠如の強度

もっとつるつるにしあげて 汁気を剥奪すれば おはだの張りは保たれるかもしれない という
わけにもいかないんだな これが

うしろざまに
ろざまに
さまに
まさに
まに
むけに
ほれ剥がせ ほれきえろ ほれなませ ほれとのせ
!hola! と hala
いって 消えろ て・きえろ te quiero quienes? quiera quienesquiera

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