2019年5月5日日曜日

玉紐

 生まれつきひょろひょろ紐とたよんなくねじれた血管とで結びつけられ鯑は印刷粒子の集合だったのだ。このうえは粒つぶを見つける限り捻り潰していくことにしか永らえることの意義はない。ひと粒ひと粒はじけてだんだん軽くなる。残った姿を予想しながら地図で消していくのはいさぎよくないぜ運命あなた任せが美しいのだ琵琶湖だって淡路島だってそのようにつくられたんだろさ。そして最後まで破壊しつくせば初めて終に美しい無の死にいたるであろう。
 こいびとはいつも後ろからやってくる。僕のあいには玉も紐もその中間もないはずなのに主導権はいつもあなたにしかない。
 発声機関としてオーソライズされている場所ばかりでなくヒトの体ってほんとにいろんな音を奏でることができる。そんなふうに、穏やかさにつつまれて睡りたかった。
 なのに残響の具合いが良くないのだ。見た目には滑らかな壁がクセモノ。最後にはささくれだち、ぶつっとちぎれたのからだらしなくたわんだ奴からすりきれた奴から枝毛した奴から数々のリヴァーブ、ディレイにおける人工混沌のきわみになってしまう。ぼこぼこの不愉快きわまりないゆらぎ。
 ざわめいている。
 ざわついている。
 こんなカクテルパーティから最初の光の一条を取り出そうなんて誰が考えついたのか。いや誰もが思いつくシックへの向こうみずな誘惑なのか。ほんとの自然の最初の満員電車を夢見るなんて。延々たどりつけない混雑ゴールに向かって迂回が続くのかと思ってぞっとしたぜ。

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