2019年5月5日日曜日

 イントロからじっとり腰のあたりに重く拙い拍子が染みつく。恨みがましい
高田さんの芽はうんざりだ。
 ただいまご紹介にあずかりました高田さんのセクションは、高田さん一人ではとても捌ききれない音符をかかえているのに、高田さんはガンとしてアシスタントを入れず、システムの見直しを行わず、自分ひとりのよたよたによたったふしまわしに誇りすら持っている。白色レグホンばかり数千羽のヒステリー牝鶏は、朝な昼な夕な夜な薄っぺらな卵どんどん産み、産むそばから取ってやらなければ、踏みつけてバリバリにしてしまうのだが、高田さんが24h.走りまわってもとっても追っつかないで、彼女の青いプラスチック籠にはいつもボロボロにヒビ割れさがいた卵が積み上げられる結果になり、そんなもん特価も廉価も投げ値もつけよがないから、ただに店ざらしになった山なりの卵を購う人とてなく、陽ざらしのまま腐り果てていくその運命に高田さんは執着し、ザンバラ頭振り乱し休暇も取らずノーメイクの悲惨な姿で鶏の尻を追っかけまわしているのだ。
 はあ~ア
 高田さんはぎょろ目でおなかだけ肥えあとは額も顎も乳も尻も小さく貧相で鳥類に進化し損ねた魚類のように見えるが、それでもレッキとした人間の女である。その頑固はいかにもジェンダーとしての女の眼の玉。忌むべき卑猥神聖として別の眼から覗き見される乙女の運命の星のもとにある。美味しいかまずいかなどは不問にしなければならぬ。ゆくりなくも切り分けたあなたの偏見によれば機能だけの眼は透明になるいっぽうだが、要はぶつぶつフライパンにはじけて遊離する蛋白質なのさ。そこまでおばちゃんは退屈している。
 はあ~ァ
 眼は地球を腐らせる。不幸せもんは単なる変人としか見做されない。価値のある物体しか買ってもらえない。言い訳ばっかし血液型もICカードも結構毛だらけお尻のまわりは記念切手でノドが詰まってさ。ああぷくぷく若い新鮮な卵が欲しいもんだ。もっとむくむくふくらませて最高に美味しいマフィンをつくってあげるのに。
 こぶしがまわるコイルに似たレム睡眠くるくるまわるまわす。まわす。まわす。揺らんゆらん指の股は
 もっと鈍くなれ。
 一針ひと針痛みをコレクションしながら、
 ふるえる。ふるえる
 もっと刺してどんどん刺して
 もっと鋭くなれ。
 麻痺してしまえ
間隔なく
起伏のないケロイドが面をおおい、シンチグラムの浸蝕しない孔に
化粧焼けにすりきれ赤蜻蛉ぷるぷる鳥肌たち。
 きょうは新しい人に出会いましたか?
くりかえし
くりかえし
いくらでも新しい
いくらでも朽ちて
 毎日くすりを飲まなければならない。少しずつ量を増やさなければならない。
くりかえし

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