雷鳴。
稲妻。
ざんざか降り。
特権的にも局所的なる嵐。
あられもなくふれもなくさたもなく
そこにある季節をむだなく洗い押し流す。
繊いほそい繊いとても細い線をつたって
怒りは忍び込み
平安穏健厚顔無恥なリノリウムに滲み達して、
すべてのデータを破壊しすべてのアクセスを断絶しすべてのシステムを混乱せしむ。
終わったよくもおわった!
エンドマークー100万個ぶつけてそんな
平和の終焉をよろこぶ
だったらよかったのに。
どおっと吹き飛んでいく。ばらばらと紙屑が
鉛の屑が腐蝕した珠が無限個ころろ地球の
表面にゆるやかに仕掛けられた傾斜を
つたって
よく電話は通じたものだ。ああこれは凄いよこんな状況で凄いことだよふらふら迷走した
たましいの渦は
恋いしがって離れてなつかしんであきらめて
思い切れずに喚きやっぱり離れてはなれて
離れていく遠ざかっていく
そんなにも可愛いちいさい女の子は
沖縄を今夜半直撃するも
小笠原諸島はすでに暴風雨圏なるも
本土をかすめず
日本国は微動だにせず
そこも領土だったの? ちりぢりに揺れてやぶれて弾けて飛び去ってしまった哀れな
いきものの欲望は?
みえない向こうの闇から聴こえてくる
ひどく単調な
歯ぎしりつーつーつーつーつーつーつーつーなんの意味も感情もなく絶望だけをつたえてつーつーつーつーつーつーつーつーつーつーそれでもつづいているだけでよかったのに
いつ途切れるいつきこえなくなるいつ消滅する耳をすますほどにほそくちいさくよわっておとろえて抑えきれず呼ばわるほどにとおざかる離れてしまう去っていくいってしまう
ついについにつーつーついに途絶える。
終わったよくもおわった!
朝無惨な灰青色の空に鰯雲ひとつふたつ
みっつエンドマーク100万個かぞえて
そんな季節の終焉をよろこぶ
しかし怒りはついになく
恥さらしなリノリウムはのっぺらぽうのままだらしなく
ああ。
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