2019年9月15日日曜日

私は影が待てなくなる

私は影が待てなくなる。
こころの繊い夕暮れ土佐堀にうつる光の放射線をながめはしゃいでかしましく雲にかくれているよそさまの影が待てなくなる。
つるつる流れる若いきれいに栗色メッシュに染めた髪の毛いっぽんいっぽんに光の鼠をはしらせ boys きみたちの影が待てなくなる。
婁婁る艶めくほむらほのほの耀として消えなんとする刻いらだたしく喰いちぎりはむこうてゆかむとするをなつかしげにみやる我等が淑女あなたの影が待てなくなる。

私のあずかり知らぬ
勝手に世界はよそで厳密に織りあげられなお織りおり私はつねにゴミ除去され遅れて到着する。
預言は既に過去となる瞬間その隙間より遥かフィルムの瑕として固く硬く消し難く在るだろう。
間抜けな預言者は未来予知するつもりで過去から発散され夢かいまみたのち再度現われるのみ。

逆周りにあらごうて荷馬車牽く馬
パラシュート
風ふくみ貧しい妊娠線ひきちぎらんとゆらがう白い布
蝦蛄のしっぽ
うごめく人のおよびかいくぐり男の口に咥えられうごめく魚の尾
ローヴァー

遅れること と引き延ばすこと の退屈な間隙
視界の端をトコトコ点線たどって走り去るローヴァーがいる。
この中間
とても待ってなんかいらんない
中立地帯
を待てなくて夢みるのだ

宙にうつる
待ちくたびれた夢のなかを魚の浮きぶくろの弛緩してながく虚数ふきしきり
4台のローヴァーが通りかかった。
地下駐車場の黒はカラッポでうつくしい置き石としてふたりの暗黒人の銃による対決の書き割りとなる。
黄緑がかった子はケバケバしい青とローズの光のなかにやってらんねえよって顔して頻りに居場所を誤った。
ともだち家族がぎっしり詰まったビリジアンのミニ。ゾクっぽ~い
そして色わかぬ遂に見えない1台はコートダジュールの猫の彼方に掴み込められ伏してねたんで刻まれる。は
レルヤ
いちばん大切なのが見えない。見えないから色わからない。色はある。色はあるんだ。だって確かにあったのだからあるのだから。待てない先に見えないだけであって
私を決して乗せることのない
私が決して乗ることのない
小鬼の運転する走る止まる壊れる燃えるそのうごきだけが灰白質に目撃され
夢が夢だと分別さす徴として四海の橋を架け駆け賭けぬけていく。

待っても待っても待ち人は背後にいる。影を
待てなくなる私をつらぬいていく

馬の影
たった一頭の馬の
私は影が待てなくなる。
うしろへ

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